アクアポニックスという言葉を聞いたことがありますか?
アクアポニックスは、魚の養殖(アクアカルチャー)と植物の水耕栽培(ハイドロポニックス)を組み合わせた持続可能な農業システムです。
すごく簡単に言うと、
飼育者がメダカを育てる
メダカがフンをしてバクテリアが分解し、野菜の栄養に変える
野菜が富栄養化した飼育水で育ち
野菜を収穫し食べる
アクアポニックスにはこのような流れがあり、これは自然界でも同じことが起きています。
このアクアポニックスは、オーバーフロー水槽を使えば簡単にこのアクアポニックスの仕組みを作ることができます。
この記事を読むと、
オーバーフロー水槽でのアクアポニックス
育てられる植物、野菜
飼育できる魚
メリット・デメリットはあるのか
これらがわかるように解説していきます。
アクアポニックスは大型な設備が必要と思われる方も多いですが、そんなことはなく、小さいサイズでも始められる循環型農業です。
魚が好きで、野菜も育ててみたい、メダカ飼育と何か始めてみたい方は、ぜひ参考にしてください。
詳しいアクアポニックスの記事は下記参照です。
オーバーフロー水槽の組み合わせでアクアポニックスはできます
アクアポニックスはオーバーフロー水槽があればとても簡単に始めることができます。
上の写真は自作のアクアポニックスなのですが、作りはとてもシンプルです。
下の絵で説明します。
赤の矢印が水の流れなのですが、
- 下段にある水中ポンプから、上段まで水を汲み上げます
- 上段は栽培槽になっていて、ここに野菜や植物を植えています。上段の水は中段にオーバーフローしていきます。
- 中段はメダカの飼育槽になっています。ユリシス、マリアージュロングフィン、花魁黒錦がここで生活をしています。中段の水は下段に戻ります。
図が分かりづらいかもしれませんが、要は、水中ポンプで汲み上げた水が栽培槽を通り、最終的に水中ポンプがある槽に戻ればいいのです。
オーバーフロー水槽を縦に並べて水中ポンプで循環させているだけで、アクアポニックスはできてしまうのです。
この水の循環により、バクテリアがアンモニアを、亜硝酸、硝酸塩と分解していき、メダカにとって有害でも野菜の栄養となります。
下段ではランチュウを飼育しています
自分のアクアポニックスは最下段にらんちゅうを飼育しています。
この最下段は大きい容器を使用していて、トロ船60サイズと同じ大きさの工具BOXを使用しています。
らんちゅうをここで育てている理由は、アクアポニックスでは、魚の排泄物が多いほうが富栄養化になり野菜には最高の肥料となります、金魚は餌をよく食べてくれるし、体も大きいので、いっぱい排泄してくれるので、アクアポニックスに向いている魚だと思います。
上段は栽培槽。ハイドロボールは多孔質
下段から、水中ポンプを使い、上段の栽培槽まで水を汲み上げ、ここで野菜を育てています。
栽培槽はハイドロボールが最適で、ダイソーにも売られています。
赤玉土でも問題はないですが、赤玉土は再利用がしづらいので、再利用できるハイドロボールが個人的にはオススメです。
ハイドロボールも、赤玉土も多孔質なので、バクテリアが定着しやすいです。
最上段からの水がオーバーフローにより、中段に流れます。
中段は、改良メダカをメインに飼育しています。
この中段ではメダカのみ飼育しています。
先程述べた通り、品種を分けたいので、中段の容器は3つのNVBOXで構成しています。
ユリシス、マリアージュロングフィン、花魁黒錦をここで育てています!
中段はメダカの観察をするのに丁度いい高さになるように作っています。アクアポニックスは水がクリアウォーターになるので、観察しやすいのが気に入ってるポイントです。
自作アクアポニックスで必要な物
- オーバーフロー対策済み容器
- 水中ポンプ
- ハイドロボール
- 容器を置く棚
これらがあれば、後は組み立てるだけです。
段数はお好みで大丈夫です。
塩ビ管を使ったオーバーフロー対策容器の自作方法はこちらの記事に詳しく書いています。
アクアポニックスではオーバーフローさせる仕組みは必須レベルなので、自作できるようにしておくといいと思います。
こちらは作ってほしいと頼まれDIYした物です。掛かった費用は1万円弱です。
これだけのサイズとなると、市販のキットではいいお値段しますね。
値段的に1番高いのは水中ポンプです。2500円ほどしました。
栽培槽や、飼育槽を分けなければもう少し安くできると思います。
工具も取り揃えると費用はもうちょっと掛かりますね。
作成時の各段の注意ポイント
最上段の栽培槽ですが、栽培する物によっては根腐れを起こしてしまいます。
この根腐れの原因は植物は根からも酸素を吸って生きています。根が完全に水に浸かってしまうと呼吸ができなくなり、根が腐ってしまうのです。
この問題を解消するのがオートサイフォン(ベルサイフォン)です。
水が一定上限水位まで達すると、サイフォンの原理により、一定下限水位まで排水されるのを自動で繰り返す物です。
このオートサイフォンを使えば根腐れしやすい植物も栽培でき、バクテリアにも酸素が供給されるので、非常に有効です。
私のアクアポニックスにも採用しています。
このオートサイフォンはなかなかうまくいかないことがあって、難易度が高いです…失敗するとただのオーバーフローになります。
今回、自作したアクアポニックスの栽培槽は、3つに分けたのですが、それがさらに難易度をあげましたね。今の水中ポンプよりもさらに強力なポンプであれば苦労はしなかったのですが、3つに分岐したことにより、水量がバラバラになり、1つ1つの調整が必要になりました。
容器を連結して、オートサイフォンを1つにすれば、すんなりうまくいったのかもしれません。
オートサイフォンを必ず使用しないといけないではないので、ご注意ください。
使用しない場合は、水位が重要で、ハイドロボールを入れた栽培槽に人差し指を第2関節まで突っ込み、指先が濡れる程度が丁度いい水位です。
最下段で使う水中ポンプですが、最大揚程に注意して購入してください。
最下段から最上段の距離により水中ポンプを選ぶ必要があります。
弱いポンプを購入してしまうと、水が最上段まで上がらない事故が起きます。
私は2個買って失敗しました。
水量を調節できるもので、余裕をもった最大揚程を選ぶほうがいいですよ!ちなみに失敗した2個の水中ポンプはミニ水槽を自作して室内で使用してます…。
育てられる植物、野菜はなんですか?おすすめは圧倒的に小ネギです
水耕栽培で育てられる物なら何でも大丈夫です。(根腐れを起こしやすい植物にはオートサイフォンを)
自分の栽培したことがあるのは、
- ミックスレタス
- 大葉
- 小ねぎ
- 豆苗
- バジル
これらを栽培し、美味しくいただきました。
オススメな野菜は小ねぎです!スーパーで買ってきた小ねぎを緑の部分を少し残し、栽培槽に植えるだけで、リポベジができるので、種も必要無いですよ!
栽培槽によりますが、イチゴや、きゅうりなどでも栽培可能なので、お好きな野菜や植物を育ててみてください。
もちろん野菜でなくても観葉植物などでも可能ですよ!
野菜や花には虫が寄ってきます
栽培していると、虫が付くことがありますが、殺虫剤などは絶対使用しないでください。
こまめに観察し、虫を捕るか、水をかけて流す、ビニールや、防虫ネットを被せる等の対策はしたほうがいいです。
小ねぎは経験上比較的、虫がつきにくいので小ねぎばっか植えています。もう小ねぎ畑です。
レタスや、大葉は虫には大好物のようです。
レタスや大葉はネットで見ると虫が付きにくいと見ましたが、付きにくいだけで、普通に虫付きますね…緑の芋虫がむしゃむしゃ食べてます…。
虫が付くのが嫌だ!虫が苦手という方は、室内でアクアポニックスをオススメします。
室内の場合は、光量に注意が必要です。
野菜を育てるには最低限必要なルクス(光量)があり、野菜によって値が違います。野菜が育つライトが必要です。
メダカも光が必要です。LEDライトは大きい物を設置しましょう。
飼育できる魚は?
飼育できる魚は海水魚でなければ問題ないと思います。
メダカはもちろん、金魚や亀でも大丈夫です。水を汚す生き物のほうが野菜に栄養が豊富なので、育ちがいいです。
アクアポニックスで飼育できる魚種は多くいますが、向き不向きもあります。
- メダカ
- 金魚
- 亀
- ミナミヌマエビ
- ヤマトヌマエビ
- どじょう
- ティラピア
- 錦鯉
飼育できる淡水魚であれば、問題なく、問題があるとすれば、熱帯魚などはヒーターを使うので、寒いほうが向いている植物との相性は悪いです。
アクアポニックスでは餌をいっぱい食べて、フンをよくする魚が向いていると思います。
メダカの場合は、過密飼育であれば水は汚れやすいですが、匹数が少ないと、フンの量が少ないです。
その場合は栽培槽を小さくすれば解決すると思います。
現在らんちゅうも飼育していて、前に亀も飼育していましたが、水がすぐ青水になり、クリアウォーターを維持しずらい印象でしたが、アクアポニックスで亀や金魚を飼育すると、クリアウォーターを維持しやすいほど水質浄化能力は高いです。
メリット、デメリットについて
個人的にメリット・デメリットを考えてみました。
農業と考えている大型のアクアポニックスでは、またメリット・デメリットは大きく変わると思います。
メダカ飼育をしながら野菜を育てる楽しみ
オーガニック野菜が食べられる
水槽の掃除の手間が減る
基本的には水換え不要(水質チェックは必要です)
クリアウォーターを維持できる
水の流れる音に癒される
屋外ではどうしても虫がつくので困る
野菜が水分を吸収するので、水減りが早い
これらのメリット・デメリットがあると思います。
ここで注意点があります。
デメリットにある通り、水減りが早いので、水量チェックはかかせないです。水が減ってしまった場合は水足しをしてください。
野菜は水を多く必要とします。吸収量が多いです。
水換えは必要ないと言われていますが、水質チェックを定期的に行い、必要であれば水換えをするようにしましょう。
参考までに、自分のアクアポニックスは半年ほど水換えしてなかったですが、水質に異常は見られていないです。
枯れ葉などのゴミを取り除いたり、水中ポンプの目詰まり等のメンテナンスは必須ですので、注意してください。
まとめ
アクアポニックスは、魚と共に野菜を育てられる次世代の循環式農業とも言われる画期的な農業だと思います。
メリットが多いのもポイントです。
自分の場合、サラリーマンなので朝は早く夜は遅くなので、水換えは休みの日ぐらいしか、なかなか時間が取れないので、水換えサボりがちだったのですが、アクアポニックスにしてから飼育が楽になりました。
ぜひこの記事を見た方も、アクアポニックスを始めてみませんか?忙しい方には特にオススメだと思います!
水耕栽培との比較の記事はこちらを参考にしてみてください。
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